ハーレムな時間

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ハーレムな時間

桃ちゃんのお母さんの娘さん家族が、ゴールデンウイークのお休みを利用して田植えのお手伝いにワンと一緒に里帰り。
 今日、ボクは何の心の準備集運もしないで、仕事から帰ってきた母ちゃんを引張って、桃ちゃんの家を目指していた。夕方の散歩はかあちゃんが早く帰ってきた時だけだから、ボクはルンルン。かあちゃんは、行く道「今日は凛が恐いプリンママと、美人の桜ちゃんやマリンちゃんが帰ってきたはるし、もう晩ご飯の時間やし桃ちゃんには会えへんかもしれへんで」と言っていた。けど、ボクに聞く耳はなかった。ボクのアタマの中は桃ちゃんでいっぱい。

 桃ちゃんの家の傍まで来たら、庭で音が聞こえたので、ボクはますますかあちゃんを引張った。桃ちゃんのお母さんの匂いだ。桃ちゃんは庭にいなかったけれど、ボクはお母さんに会えるだけでもいつだって嬉しい。すぐにお母さんが桃ちゃんを庭に出してくれた。お母さんは「桜ちゃんも一緒に遊ぶかなー」と言っていたけど、やはりボクには聞く耳がない。ボクのアタマの中は桃ちゃんでいっぱい。いつもならボクが行くと、すぐに桃ちゃんがボクの匂いを嗅ぎ付けて、ボクへの呼びかけをしてくれるのだけど、今日はそれがなかった。なんかおかしいなぁと思っていたけど、桃ちゃんが出てきてくれたらそんなことはすぐに忘れた。

 ボクと桃ちゃんがいつものように庭で遊んでいた。ボクが桃ちゃんを追いかけてお母さんの家の裏口に行ったら、中からワンの声が。ドキっ。思い出したぞ、この声はプリンママだ。さっきからかあちゃんが何か言っていたのはこのことだったのか。でも、まだ大丈夫こっちに来ない。外にいるのはボクと桃ちゃんだけだと安心していた。

 ところが、ボクが来たのを知った、プリンママの人間のお母さんや桜ちゃんの人間のお母さんが、マリンちゃんや桜ちゃんを抱いて出てきてくれた。ボクに気をつかって、プリンママを家の中に閉じ込めたままだったけど。ボクはマリンちゃんにいきなり吠えられた。ボクの心に恐怖が走った。ボクの尾は、勝手にお尻の下に巻き込まれてしまった。そして、おどおどと少し走った。こんな姿を桃ちゃんに見られたくないのに。でもカラダは言うコトを聞いてくれない。かあちゃんもついてきてくれない。
 かあちゃんは「凛こわいのか?」と笑いながら言う。そしてボクを抱いて、抱かれたマリンちゃんの顔の傍に持っていった。うえーん、まだこわいよー。マリンちゃんのお母Dream beauty pro 脫毛さんが「プリンの匂いがするからコワイのかしら」と言っていた。ボクは何がコワイのかわからなかったけれど、恐かった。
 今度は桜ちゃんの傍に顔を近づけられた。桜ちゃんは「ううっ」と唸った。ボクはかあちゃんの腕の中でのけぞった。
 ボクはマリンちゃんのお母さんさんに抱いてもらった。ちょっと安心。その次はマリンちゃんのお母さんの娘さん。かあちゃんはマリンちゃんを抱いていた。それを見てもうちょっと安心。
 今度は桜ちゃんのお母さんが桜ちゃんを右腕に抱いたまま、ボクを左腕に抱いてくれた。ボクは前に桜ちゃんを追い掛け回したことがある。それで嫌われているのかもしれないけれど、桜ちゃんは手足をつっぱって、できるだけボクから離れようとする。そんなに嫌わないで欲しいなー。それを見てかあちゃんやお母さんたちは、にぎやかに笑っていた。
 よく見るとワンもニンゲンもオンナだらけだ。オトコはボクだけだということに、この時始めて気がついた。圧倒された。

 桜ちゃんのお母さんや、マリンちゃんのお母さんが「凛太郎くんは、目が大きくてかわいいなー、オトコらしくなったのとちがう」と誉めてくれていた。かあちゃんはボクが誉められると、いつも目尻を下げて顔中で嬉しそうな顔をする。ほんまにアホやとボクはいうも思っている。ボクがこんなにドキドキしているのに、そのことに気がついてよと思うのだが、思うだけ無駄だと思っているので最近はあきらめてもいる。

 最後に、桃ちゃんの傍に連れていってもらい、桃ちゃんに顔を近づけて、お母さんにも撫でてもらい、なんとなくほっ。

 こうして、ボクのハーレムな時間尖沙咀酒店は終わった。ああ疲れた。
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