風景画の歴史

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風景画の歴史


 夜スクの西洋美術史の先生から授業で渋谷の文化村ザ・ミュージアムで開催中のウイーン美術館から来た《風景画の誕生》を紹介して頂き、Foodwise凍肉品質5日は大学生無料のキャンパスデーと教えて頂いたので行って来ました。
 文化村のル・シネマにはよく行くけれど、ザ・ミュージアムは初めて。こじんまりした美術館ですが、思いのほか見応えのある展示で、16世紀から18世紀に渡る風景画が70点、がよくわかる構成となっていました。中にはティツィアーノやカナレット、ブリューゲル父子、ボス(ボッシュ)などの絵も来ていて、さすがハプスブルグ家のお膝元のコレクション。20分だけですが、アートナビゲーターの方が特に選んだ絵について説明をしてくれて、とても参考になりました。(アートナビゲーターってキュレーターとは違う資格でしょうか?)
 フランドル絵画でおなじみの風景生活画ですが、マリアとキリストを描いた聖母子画の背景として描かれた風景がその始まりで、例えば後方の窓の向こうにわずかに見える風景が丁寧に描き込まれたりしていて、作品の場所や逸話を推測する大きな要素の一つになったようです。

 画像は1580年台に描かれたヴェネチア派の画家レアンドロ・バッサーノの12ヶ月の月暦画(カレンダー)の一つで、空に双子が飛んでいることから5月とわかります。放牧が始まる季節で背景には山に登る羊か牛の群れが、 手前にはチーズを干す農夫が描かれています。当時、農作物にも投資をしていた貴族たちは、庶民の暮らしぶりや季節の行事に興味を抱き、画家に人々の日常を描くよう注文したのだとか。この月暦画の連作は道具など細部にわたって丁寧に描写しているため、歴史的記録資料としての価値も少なくありません。
 しかし、山への移牧やチーズ、バター作りなど、飛躍的な技術革新を経ても根本的にはそれほど変わらない西ヨーロッパの農家の日常を観ると、430年以上昔の人々にどことなく親近感が湧いて来るから不思議です。
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